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QR コードにはどれだけの情報が入る? - あの白黒の四角の仕組み
コンビニの支払い、電車の切符、友だちの LINE 追加。QR コードは毎日のように使いますが、あの白黒の四角にどれだけの情報が入っているか知っていますか? 最大で漢字約 1,800 文字。原稿用紙 4 枚半分の情報が、あの小さな正方形に詰まっています。
QR コードに入るデータ量
下の表は、最大サイズのバージョン 40 で誤り訂正レベルを最も弱い L にしたときの上限です (2026 年時点の規格値)。実際の QR コードはもっと小さいバージョンで作られるため、ここまで入ることはまずありません。
| データの種類 | 最大容量 | 身近な例え |
|---|---|---|
| 数字のみ | 7,089 桁 | 電話番号 約 640 件分 |
| 英数字 | 4,296 文字 | X (旧 Twitter) の 280 文字投稿 約 15 件分 |
| バイナリ (8 ビット) | 2,953 バイト | 約 3 KB のデータ |
| 漢字 (Shift_JIS) | 1,817 文字 | 原稿用紙 約 4.5 枚分 |
数字だけなら 7,089 桁も入りますが、漢字になると 1,817 文字に減ります。文字数とバイト数の違いがここでも効いていて、漢字は 1 文字あたりのデータ量が大きいため、入る文字数が少なくなるのです。
QR コードのバージョンとサイズ
QR コードには 1 から 40 までの「バージョン」があり、バージョンが上がるほど多くのデータを格納できます。一辺のモジュール数はバージョン 1 の 21 個を起点に 4 個ずつ増えていくため、「4 x バージョン + 17」で一辺の数が求められます。下の表の容量は、誤り訂正レベルを最も弱い L にしたときの数字モードの上限です。
| バージョン | モジュール数 | 数字の最大容量 (レベル L) | よく使われる場面 |
|---|---|---|---|
| 1 (最小) | 21 x 21 | 41 桁 | 短い URL |
| 5 | 37 x 37 | 255 桁 | 一般的な URL |
| 10 | 57 x 57 | 652 桁 | 名刺の連絡先情報 |
| 20 | 97 x 97 | 2,061 桁 | 長いテキスト |
| 40 (最大) | 177 x 177 | 7,089 桁 | 大量データ (ほぼ使われない) |
バージョン 40 は 177 x 177 = 31,329 個の白黒モジュールで構成されます。しかし実際にバージョン 40 が使われることはほとんどありません。データが多いほど QR コードが大きく複雑になり、スマホのカメラで読み取りにくくなるためです。
身近な QR コードに入っている情報
ふだん目にする QR コードが実際に何を持っているかを、用途ごとに整理しました。データ量は 2026 年時点で見かける URL やパラメーターの長さからの目安で、各サービスが仕様として公開している値ではありません (仕様が公開されていない用途もあります)。
| 用途 | 入っている情報 | データ量の目安 |
|---|---|---|
| LINE 友だち追加 | LINE の URL (約 40 文字) | 約 40 バイト |
| PayPay / QR 決済 | 決済用 URL + トークン | 約 100〜200 バイト |
| Web サイトの URL | URL 文字列 | 約 30〜100 バイト |
| Wi-Fi 接続情報 | SSID + パスワード + 暗号化方式 | 約 50〜150 バイト |
| 名刺 (vCard) | 名前、電話、メール、住所 | 約 200〜500 バイト |
| 航空券 (搭乗券) | 便名、座席、旅客情報 | 約 100〜300 バイト |
日常で使う QR コードのほとんどは、最大容量の 10% も使っていません。LINE の友だち追加は約 40 バイトで、最大容量 2,953 バイトの 1.4% です。
QR コードの誤り訂正
QR コードの面白い特徴は、一部が汚れたり隠れたりしても読み取れることです。
| 誤り訂正レベル | 復元できる割合 | 同じサイズで入るデータ量 | 用途 |
|---|---|---|---|
| L (低) | 約 7% | 最も多い | きれいな環境 (画面表示) |
| M (中) | 約 15% | やや少ない | 一般的な印刷物 |
| Q (やや高) | 約 25% | かなり少ない | 汚れやすい環境 |
| H (高) | 約 30% | 最も少ない | ロゴ入り QR コード |
この割合は「面積の何割まで隠せるか」ではなく、全コードワード (QR コードのデータを 8 ビットずつ区切った単位) のうち何割まで復元できるかを表します。レベル H なら 3 割前後のコードワードが読めなくても元のデータを取り出せるため、企業のロゴを QR コードの中央に重ねられます。ただし位置検出パターン (三隅の大きな四角) が潰れると復元の前に読み取り自体が成立しないので、隠す場所は中央付近に限られます。誤り訂正を強くするほど同じサイズに入るデータは減るので、汚れやすさとデータ量のトレードオフです。
QR コードとバーコードの比較
| 項目 | バーコード (1 次元) | QR コード (2 次元) |
|---|---|---|
| データ容量 | 英数字で約 20 字 | 数字 7,089 桁 / 英数字 4,296 文字 |
| データの方向 | 横方向のみ | 縦横両方向 |
| 読み取り角度 | 正面のみ | 360 度どの角度からでも |
| 誤り訂正 | なし | あり (最大 30%) |
| 日本語対応 | 不可 | 可能 |
バーコードに入るのは英数字で 20 字程度。商品の識別番号 (JAN コードで 13 桁) を入れるのが精一杯です。QR コードは同じ英数字で 4,296 文字まで入るので、単純に比べると 200 倍以上。しかも漢字やカナをそのまま入れられます。
そもそも QR コードは、この「バーコードでは足りない」という現場の声から生まれました。1994 年にデンソー (当時。QR コード事業は現在デンソーウェーブが担当) が発表したもので、開発したのは原昌宏を中心とした 2 人のチームです。名前の QR は「クイック・レスポンス」に由来し、容量よりも読み取りの速さを狙って設計されました。三隅の四角い切り出しシンボルはその中核で、白黒の幅の比率を 1 : 1 : 3 : 1 : 1 にすることで、印刷物の中でまず現れない図形にしてあります。だからスキャナーはどの向きから走査してもコードの位置をすぐ特定でき、360 度どの角度からでも読み取れるのです。
QR コードのセキュリティ
| リスク | 手口 | 対策 |
|---|---|---|
| 偽の QR コード | 本物の上に偽物を貼り付ける | 不自然なシールに注意 |
| フィッシング | 偽サイトの URL を QR コードに | 読み取り後の URL を確認 |
| マルウェア | 悪意あるアプリのダウンロード URL | 知らない QR コードを安易に読まない |
QR コードは便利ですが、中身が見えないという弱点があります。URL が文字で書いてあれば怪しいサイトだと気づけますが、QR コードでは読み取るまで分かりません。パスワードの文字数とセキュリティと同じで、便利さとセキュリティのバランスを意識することが大切です。