原稿
印刷・出版・放送などのために作成されるテキストの元データ。原稿用紙の 400 字・800 字といった文字数単位が、日本語の文章量の基準として広く使われている。
原稿 (げんこう、manuscript) は、出版物や放送番組の元となるテキストデータです。紙の時代には原稿用紙に手書きで書かれ、現在はテキストエディタやワードプロセッサで作成されます。日本語の文章量を測る単位として「原稿用紙 ○ 枚分」という表現が定着しており、400 字詰め原稿用紙が基準単位です。
400 字詰め原稿用紙は、20 文字 × 20 行 = 400 文字のマス目が印刷された用紙です。200 字詰め (20 文字 × 10 行) もありますが、400 字詰めが標準です。「原稿用紙 5 枚」と言えば 2,000 文字、「10 枚」なら 4,000 文字を意味します。学校の作文課題、小論文試験、文学賞の応募要項など、日本語の文章量はこの単位で指定されることが多いです。
原稿用紙の文字数カウントには独自のルールがあります。句読点は 1 文字として 1 マスを使い、段落の冒頭は 1 マス空けます。句読点や閉じ括弧が行頭に来る場合は、次の行に送らず前の行の最後の文字と一緒に収めます (禁則処理・ぶら下げ)。この処理では新しいマスを使わないため、1 枚のマスの総数は変わりません。実際に書ける文字数が 400 文字より少なくなる主な要因は、段落冒頭の 1 マス空けと、改行によって行末に残る空きマスです。なお原稿用紙の書き方に社会全体で統一された規則はなく、細部は出版社や応募要項ごとの慣習に従うことになります。
デジタル時代の原稿は、文字数の管理がより正確になりました。テキストエディタの文字数カウント機能を使えば、リアルタイムで文字数を確認できます。ただし、「原稿用紙換算」の文字数と「実際の文字数」は一致しないことがあります。原稿用紙では改行で残ったマスは空白として数えますが、デジタルの文字数カウントでは改行は 1 文字 (または 0 文字) です。
出版業界では、原稿の文字数が書籍のページ数に直結します。文庫本の本文は 1 行 40 字前後 × 16〜18 行で組まれることが多く、1 ページあたり 600〜750 文字ほどになりますが、判型や版元の組版設計によって変わります。単純に掛ければ 200 ページで 12〜15 万文字ですが、実際には章の扉や余白のページが入るため、この上限には届きません。新書やビジネス書は 1 冊 8〜10 万文字程度が目安とされることが多く、シリーズごとの幅は大きいです。著者への原稿依頼では「○万字」という形で分量が指定されるため、手元の原稿が何万字あるかを把握しておく必要があります。
ウェブコンテンツの原稿では、文字数を目標値として扱わないことが重要です。Google は「検索で好まれる文字数がある」という前提で書くこと自体を検索エンジン向けコンテンツの兆候として挙げ、そのような文字数の基準は持たないと明言しています。文字数は、話題を十分に説明できたかどうかの結果として決まる数字であって、先に決める目標ではありません。ウェブ原稿で分量を測る目的は、掲載枠に収まるか、読み通せる長さかを判断することにあります。