WPM (Words Per Minute)
1 分間に入力できる単語数を表すタイピング速度の単位。英語圏で標準的に使われ、1 単語は平均 5 文字として計算される。
WPM (Words Per Minute) は、タイピング速度を測定する国際的な単位です。実際の単語の長さはばらつくため、測定では英語の 1 単語をスペースや句読点を含む 5 文字 (キーストローク) に標準化して数えます。したがって 40 WPM は 1 分あたり 200 打鍵という意味であり、辞書に載っている単語を 40 個打てたという意味ではありません。この換算があるおかげで、文章の内容が違ってもテスト結果を比較できます。
速度の水準は、何を打つかで大きく変わります。用意された文章を写す条件では一般的な利用者の平均は 30 WPM 台で、自分で文章を考えながら打つ条件では 20 WPM 前後まで落ちます。同じ人でも、考えながら打つと写すときの 6 割程度になるということです。40〜50 WPM は速いほうのグループにあたり、プロのタイピストは 43〜80 WPM、職種によっては 80〜95 WPM が求められ、上級者は 120 WPM を超えます。短時間のテストでは 300 WPM 台の記録もありますが、これは易しい単語を 15 秒間打ち続けた条件での値で、実務の速度とは別物です。比較の目安として、手書きは成人で 1 分 60〜70 文字程度、WPM に換算すると 13 前後です。キーボードの平均は手書きの 3 倍前後だと考えておくとよいでしょう。
日本語のタイピング速度は「文字/分」で測定されるのが一般的です。ローマ字入力では 1 文字あたり平均 2〜3 キーストロークが必要で、さらに変換・確定の操作が加わります。そのため、同じ打鍵数でも日本語の方が入力できる文字数は少なくなります。日本語の 80 文字/分は打鍵数に直すと 1 分 160〜240 打鍵で、5 打鍵を 1 単語とする換算では約 32〜48 WPM 相当です。ただし WPM は英語の単語長を前提とした単位なので、日本語の速度を WPM で名乗ると誤解を招きます。日本語は「文字/分」、英語は WPM と、単位を分けて記録するのが実務的です。
WPM の測定には「粗 WPM」と「純 WPM」の 2 種類があります。粗 WPM は入力した全文字数を 5 で割って算出し、純 WPM はそこから未修正のミス分を差し引きます。タイピングテストでは純 WPM が実力の指標として使われます。ここで注意したいのは、減点の仕方がテストごとに違う点です。誤り 1 件につき 1 WPM 引くもの、文字単位で引くもの、修正済みのミスを数えないものがあり、別のサイトで出した数値を横に並べても意味がありません。自分の伸びを追うなら、同じテスト・同じ文章の種類・同じ制限時間に固定して測ります。
文字数カウントと組み合わせると、原稿の所要時間を見積もれます。2,000 文字の原稿を 80 文字/分で打てば 25 分ですが、これは清書、つまり写す作業の速度です。考えながら書く場合は 6 割程度に落ちるため、実際には 40 分を超えると見ておく必要があります。締め切りから逆算するときに清書の速度をそのまま使うと、必ず足りません。速度と正確さの関係も同じ発想で、ミスタイプの修正は打ち直しとカーソル移動の両方に時間を取られるため、正確に打つ方が結果的に速くなります。
音声入力は、キーボードとは上限の決まり方が違う入力方法です。速度の上限は指ではなく発話の速さで決まり、音読の測定では英語で 1 分 230 語前後、キーボードの平均をかなり上回ります。一方で、固有名詞や記号、改行、句読点の指定に修正の手間がかかり、周囲に人がいる環境では使えません。長い下書きを一気に出す用途では速く、短い修正を繰り返す用途では遅い、という性格の違いとして捉えると使い分けやすくなります。